2006年12月31日

精神分析セミナーV

精神分析セミナー 3 (3)

副題はフロイトの治療技法論。副題からは古い治療技法を推測してしまいがちだが、なかなかどうして現代的な視点がかなり含まれている。

治療技法の発展の項では、オーソドックスな催眠浄化法から前額法、自由連想、自由連想法という流れを押さえているけれども、その治療法を適用したと思われる症例を引きながら解説してくれているので、実際にフロイトがどのように技法を発展させたかがわかり易い。以前のゼミでフロイトの症例集を読んだけれど、おそらく本書を読んでからのほうが絶対に効果的だったでしょう。

本書で重要視されているフロイトの技法論文、想起・反復・徹底操作はおそらく現在でもかなりの価値がある論文だろう。本書はこの論文を中心にしてフロイトの技法を解説していくのだけれど、単純にいってしまえば患者は過去の記憶を言葉によって想起するだけでなく、現在の治療者との関係の中で過去の重要な関係を行動によって反復し(転移の一種)、それを扱うことで治療できるということ。現在の治療技法と直接的に繋がっている。おそらく扱うという点で解釈の内容に差が出て、自我心理学よりか対象関係論的になるかということはあると思うけれど。

その他、フロイトが精神分析家の治療態度がどうあるべきか、幼児期体験とはどのようなものであるかと考えていたことが書かれている。いわゆる分析家の隠れ身とか禁欲原則とか。注目すべきは分析家と患者によって再構成される幼児期体験は決して全てが現実に即したものではなく主観的に患者によってそう体験されたということであると指摘している点だろう。

しかし、フロイトの治療技法ではやはり客観的な立場にいる分析家が患者の無意識を再構成していくというモデルが成立している。現在では相互に影響を及ぼしあってコミュニケーションをしているというモデルが優勢だろうけれども。それでも治療者は最初にまずフロイト的な治療技法を身に付けるべきだろうと私は思う。そうでなければ治療的な相互コミュニケーションと治療者の病的な面からの患者への影響を区別することができないだろうと考えるからだ。この点は転移・逆転移―臨床の現場からの初めに書かれている2種類の例が教訓だろう(絶版だけれども良書です、見つけたら即買いをしてもいいんでは)。

posted by hiro at 02:17| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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