2007年03月16日

流れを読む心理学史

買ってからずいぶん放置していた本。

流れを読む心理学史?世界と日本の心理学


心理学史の本ですが、近代心理学以前、近代心理学成立後、比較的最近の心理学、日本の心理学史、知能検査からみる心理学史、心理学史の意義、というような構成になっている(題目をつけたのは私)。全体的に言って各研究の内容はあまり詳しくありません。各研究といっても人名・年代・そのテーマくらいが紹介されるのみ。それよりも各人・各研究のつながりや社会情勢の変化との関わり、心理学全体の方向性の変化などを重視している。そのため心理学史上の有名な研究を知りたいと思っている人には不向き。
本書で特徴的な点は日本の心理学史、知能検査からみる心理学史、心理学史の意義にそれぞれ1章分をあてていることだろう。日本の心理学史では明治以後に誰が心理学を欧米から紹介しどのように日本の大学制度の中に組み込まれていったのかを知ることが出来る。単純だが私はやはり旧帝国大学、というより東大と京大の歴史の深さに関心した(歴史が深ければ優れているということはないけれども)。
知能検査からみる心理学史では知能検査というもの自体が社会との関係の中で意味が変化していったことを追っている。よく聞くことではあるが、ビネは知能検査を知的障碍児により適切な教育をするために使ったが、その後の特にアメリカの知能検査は平均的な数値よりも劣っている人を排除するために使われた(教育年月の差や文化の違いなどを考慮することなく)。ただ年号を覚えることよりも、あることが年月の変化の中でどのような影響を受け変化していくことを知ることが重要だという視点である。それは心理学史の意義につながり、その方法論や注意すべき点などをあげ、心理学史という研究分野への招待で終わる。
心理学史を本格的に勉強するためというよりも、心理学史を勉強するとはどういうことかということを知るための本であり、本格的に勉強する前に一読するのがいい読み方かもしれない(ただ有名な研究の要点を知っておかなければ読みにくい)。
posted by hiro at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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