2007年02月14日

精神療法面接のコツ

神田橋先生のコツシリーズの2作目。

精神療法面接のコツ


基本的なトレーニング方法や、精神療法の作用機序に関する基本モデル、モデルに応じた技術と厄介な症例に対する応用などが述べられている。基本的なトレーニングで重要視しているのは読み取る・感じ取る能力の育成である。五感をフルに使った読み取りの力をあげるための具体的な方法や伝える技術の向上方法などがあげられている。作用機序は、主体(患者)の自助の活動・抱える環境・異物(揺さぶり)としての精神療法技術から成り立ち、その基本は自助の活動を妨げない・引き出す・障害を取り除く・意欲などを植え付けることであるとする。その他にも定石やコツとして様々な提言がちりばめられていて心に留めておくとよいと思われる。
本書全体を読み通して、著者の精神療法面接はおそらく名人芸のようなものなのではないかと思われる。いわゆるhow to の技術ではなく、自然に滲み出てくる態度や発言そのものが類いまれなる技術と化しているのではないだろうか。著者自身はこのような境地に至るのにhow to 的な技術の訓練を重ねて10年以上かかると書いているけれども、おそらく著者の素質もあるのだと思う。そして本書もhow to 的な助言が随所にあるけれども、それを抱え込んだ全体としての雰囲気を読み取ることの方が重要なのではないだろうか。
著者の特徴に面接の場の雰囲気の重視がある。本書も雰囲気を感じてもらえるように書いたとある。この雰囲気というのは何とも言えない曲者であると思う。雰囲気という言葉はよくありがちだが、雰囲気という言葉では実際の雰囲気は伝わらないからである。実際にその場にいなければ雰囲気を感じることはできない。著者はコトバの文化と実際の肉感的な体験レベルのずれを意識することが大切であるとするが、その論考は対話精神療法を志すものにとって読む価値があるものである。
前書の追補 精神科診断面接のコツも合わせて読むことが勧められる。こちらは読み取りの技術に特化して書かれており、こちらを自分のものにしてから本書を読むのが効果的かもしれない。
posted by hiro at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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